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発熱・下痢・嘔吐をきたす疾患

発熱を伴うウイルス性胃腸炎とは、どんな病気ですか?

冬から春先にかけて乳幼児によく見られる「嘔吐・下痢症」や、学童以上、大人の方も罹るSRSV(小型球形ウイルス)による感染症などが代表的で、ウイルスに感染すると、嘔吐・下痢・高熱などの症状を呈します。ウイルスに関しては、以下の表をご参照ください。
腸管系アデノウイルス感染症 人に感染するアデノウイルス(DNAウイルスの一種)は30以上の血清型に分かれており、感染すると咽頭炎・喉頭炎等の上気道炎、結膜炎、胃腸炎(腹痛・嘔吐・下痢など)などを引き起こします。幼児に好発するアデノウイルス3型の感染は夏場の「プール熱」としてよく知られています。
小型球形ウイルス(SRSV)感染症 大体通年でみられる感染症ですが11月から3月にかけて多くみられる傾向があります。全年齢層にみられ、年長児から成人の感染性胃腸炎の中では検出頻度のもっとも高いウイルスです。汚染された食品や水、特に生カキが感染源となることが多いようですが、食品を介さず人から人への感染も主要感染経路となります。
ロタウイルス感染症 乳幼児下痢の原因の多くはウイルス性で、ロタウイルスなどによる「嘔吐・下痢症」は冬から春先にかけて多くみられます。
その他のウイルス感染症 コクサッキーウイルスA・B(手足口病の原因となるウイルスとしてよく知られています)やエコーウイルスなどのエンテロウイルス群も原因の一つで、症状や治療法等は他のウイルス性腸炎と同様です。
細菌性腸炎 6月以降は梅雨に入りさらに高温多湿の夏になると細菌の増殖しやすい環境になり、食品そのものも傷みやすいなどで細菌性腸炎(食中毒)が増えてきます。食中毒の90%以上は細菌性のもので、サルモネラ、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌・病原性大腸菌(O-157など)、カンピロバクター、ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス、赤痢菌、コレラ菌、リステリア菌等があります。

どのように診断するのですか?

臨床症状に加えて、白血球やCRP(炎症反応)、胸部X線写真、アデノウイルスやロタウイルスなどの血液による抗体検査を行います。細菌感染が疑われ、菌の同定がつかない場合は便検査や動脈血による培養検査ができます。特殊な腸炎では内視鏡検査があります。

どんな治療をするのですか?

冬場に流行するインフルエンザにはよく効く抗ウイルス薬がありますが、上記に示したウイルス性感染症には特に特効薬はなく、
(1) からだを充分休めて体力や免疫力を保持することと、
(2) 水分を摂って脱水を予防すること(脱水に至った場合は点滴が必要かつ効果的)、
(3) できれば症状に応じて栄養を補給することが一番の治療となります。
仕事や学校など無理して続けていると逆に治癒を遅らせ、だらだらと症状が長引いてしまいます。経過中に細菌感染を合併してくる場合もあり診断・治療は早いほど良いので、早めにかかりつけ医で診察を受けるようにしましょう。細菌性感染症が合併した場合は原因菌に応じて抗生物質を用いますが、副作用も考慮して長々と同じ薬を使うべきではありません。症状によって処方も変更していきますのでかかりつけの医師とともにがんばりましょう。

乳幼児の場合は、どのように対処したらよいですか?

嘔吐・下痢がひどく、食事も摂れないような場合は脱水症に陥っていることが多いのでこの時は点滴が効果的です。特に、乳幼児の場合は時間はかかりますがこの処置は大切です。乳幼児である程度食事が入る場合は、湯ざまし、番茶、野菜スープ、健康飲料などを少量、頻回に与え、脱水の進行を予防することが必要です。母乳をあげている時はそのまま与えますが、人工粉乳の場合は2/3~3/4に希釈して与える方が良いでしょう。経口補液剤も(ポカリスウェットやアクエリアス、あるいは粉末の補液維持液製剤など)有効です。成人の食事も同様で、お粥などの胃腸への負担の少ないものから始め、少しずつ元に戻すようにしましょう。下痢や高熱が続く時にはやはりポカリスウェットやアクエリアスなどの水分補給は大切です。
乳幼児も成人も下痢というのは一種の生体防御反応と思って下さい。強い止瀉薬(下痢止め)を不用意に始めから使うことは避けたほうが良いでしょう。

今回お答えいただいた先生

むらかみクリニック
院長 村上知子
〒818-0022
福岡県筑紫野市筑紫駅前通1丁目21 クローバービル壱番館1F
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